主要な研究課題
・全無線自律分散ネットワークの研究
道路交通の安全、高効率化の切札としてITS(Intelligent Transport Systems)が注目されている。このITSに必要となる車車間通信を実現し、また、真に場所に束縛されない未来の通信をも可能とする全無線化ネットワークが検討されている。このような通信システムにおける最適な多元接続方式、周波数・スロット割り当て方式について研究を行う。
・無拡散マルチユーザ高速伝送技術の研究
従来、無拡散での同一周波数複数信号(マルチユーザ)の受信は不可能と考えられてきた。しかし、我々は系列推定による非線形干渉キャンセル技術と波形相関を用いれば可能であることを明らかにした。この新しい通信方式や高速伝送技術について計算機シミュレーション、理論計算、ハードウエア試作の3方面から研究を行う。
・高速高品質情報伝送方式の研究
事実上、次世代移動体通信方式に決定し、世界的にも注目されている、スペクトル拡散技術に基づく CDMA(符号分割多元接続)方式や高速無線LANの変復調等に使われるOFDM (直交周波数分割多重)伝送方式の研究を行なう。特に、容量増大に有効な符号化(ターボ符号など)や干渉キャンセラ等の信号処理技術に関する研究を行なう。
・将来展望
今後、通信情報ネットワークは固定通信網と移動通信網、インフラストラクチャをベースとする無線ネットワークと自律分散型無線ネットワークが高度に融合し、ネットワークを意識しなくとも、いつでもどこでも自由に所望の情報が受発信できるネットワークが構築されていくでしょう。 また、無線の送受信機は高度に環境適応的な信号処理機能を備えたマルチバンドアンテナ付きの変身自在なソフトウエア無線機(software defined radio)に向けての発展が期待されています。 そして今後 益々コンピュータとの結び付きが強くなり、マルチメディア移動体通信の時代が到来し、情報基盤の重要な一翼を担うようになるでしょう。次世代、次々世代の通信情報ネットワークのあるべき姿を見据え、それに向けての基礎的情報通信技術の追求を進めて行きたいと願っています。