立命の情通研にいたときに、先輩たちが行っていた研究のひとつに次世代高速ネットワークというものがありました。現在のインターネットよりも高速で通信するためにはどうすればよいかをL2レベルで解決するというものです。当時の私は光ファイバーレベルの速度があれば十分ではないかと感じていたので、その研究もあくまで人の研究という感覚でした。
だけど将来デジタル放送が始まり、ハイビジョンTVもHDDレコーダも一般家庭に次々導入されていくでしょう。レコーダーでダビングした映像を外出先でも見たいということも今後は増えてくるかもしれません。映像メディアを伝送する最も高速な媒体が電波だけというのでは、双方向通信は一生実現不可能です。やはりインターネットの高速化は非常に大切なファクターだと感じました。
では現在のインターネットの高速化を阻む原因は何なのでしょうか?大きく二つあります。ルーティング速度とTCPの輻輳制御アルゴリズムがボトルネックになっています。前者はそれを早くする技術として、ハードウェアルーティングやIPv6によるヘッダの効率化などである程度解決されているように見えます。後者はTCPrenoやInternet2などで輻輳制御方式が提案されています。スロースタートではなく、帯域に応じた速度をはじめから出せるようにしたりして実現しています。
ルーティングとTCP、これ以外の解決策はないのでしょうか。その辺りの議論が新しい研究テーマになりえると考えます。今後はこの2点のサーベイを進めていき、具体的な提案手法を検討する予定です。