というタイトルの技術解説論文を読んでみた.
http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/22/pdf/87-08.pdf
概要説明をします.
最初に無線ホームネットワークやら11eの概要説明やら.
AV伝送にはHCCAのほうが適しており,この論文ではHCCAについて記述.
QAPに存在するHC(Hybrid Coordinator)が送信時間の割り当てを一括管理.
QSTAは送信したいデータに要求される情報をTSPEC(Traffic SPECification)
というパラメータを用いて伝える.
QAPはQSTAの送信割り当て要求に対して TSPECから受付判断(Admission Control)し,必要な送信時間・タイミングを計算*1→CF-Pollによる送信権(TXOP)の付与を行う.CF-Pollに記述された送信許可時間だけQSTAは送信可能.
また,QSTAは次に付与してほしいTXOP時間をQAPにフィードバックできる.
この際,値をQSTAの送信するデータフレームに埋め込むことが可能
また,TXOPがあまったらQAPへ返還
QAP→QSTA の場合CF-Poll無しにデータフレームの送信をする.
QSTA→QSTA の場合,次に付与してほしいTXOP時間はQoS null(QAP宛)
QAPは以下の要求を満たすように
送信許可時間のタイミングを計算
1 要求を受け入れたSTAにはTSPECに記されたデータに必要な最低限の送信時間を保証する
2 無線パスの変化によりパケットエラー率が増加する場合には1の時間割り当てでは不十分であり,そのSTAにはより多くの送信時間を割り当てる救済措置を取る.
3 この二つを満たした上で,多くのQSTAの要求を受け入れる.
これらの要求を満たすスケジューリングアルゴリズムは無数に存在.
具体的にはIEEE802.11eの仕様では規定されてなく,メーカーの実装依存.
特に2が重要.(仕様書レベルでは具体的に記述されていない)
・スケジューラアルゴリズム
SHARPのこの論文では
ポーリング更新・作成機能を
ハードウェア処理 と ソフトウェア処理 に分ける.
ソフトウェアによるTXOP計算では,ビーコン周期単位でポーリングリストを更新しているため,遅延発生時間が非常に長い.そのため,ポーリングリストが更新されるまではハードウェアによる応急措置を行うという方法.
リンクエラーによりTXOP要求が増えたQSTAに対して,ハードウェア処理でなるべく多くのTXOP間隔を割り当てる.
Beacon Intervalが終わった後,ソフトウェア処理部分でTXOP値が更新される.